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雛と京文化の雅な旅

小京都、酒田に赴く

上方文化と豪商が集う、湊町酒田

<酒田市>
江戸時代には「西の堺、東の酒田」と称された酒田。その繁栄ぶりは街に残る様々な文化から知ることができる。
村山地方から最上川を経て届けられる紅花は、やがて酒田へとたどり着く。ここから北前船で下関を通り京都や大阪、江戸へと至る「西廻り航路」で上方へと届けられる。一級品として名を馳せた山形の紅花は、多大な富を商人たちに与え、帰り船には様々な上方文化が乗せられた。こうして酒田は大消費地と直結することで、大発展を遂げていったのである。その千石船は、日和山公園にて半分の大きさではあるが見学することができる。
酒田繁栄の象徴として有名なのが、「本間様にはおよびもないが、せめてなりたや殿様に」で知られる酒田の大富豪・本間家。本邸や別荘などは「本間家旧本邸」「本間美術館」として今に残り、往時の栄華を今日に伝えている。そのほかにも、井原西鶴の『日本永代蔵』で「北の国一番の米の買い入れ・・・」とある廻船問屋「旧鐙屋」も酒田の商人だ。
様々な京文化を垣間見る酒田において、その代表的なものに酒田舞娘がある。「舞娘茶屋雛蔵畫廊 相馬樓(まいこちゃやひなぐらがろう そうまろう)」はその伝統を受け継ぐ唯一の施設だ。江戸時代に商人や町人をもてなす料亭「相馬屋」として開業され、明治27年に一度焼失したものの、その後修復した歴史をもつ。ここでは現在も酒田舞娘が芸を磨き、紅花染めの畳部屋の中で優雅な踊りを披露する。また、『酒田甚句』の歌詞には「・・・繁昌じゃ おまへんか♪」との上方言葉を聞き取ることができ、そこからも上方文化の強い影響を受けていることがよく分かる。
舞妓茶屋雛蔵畫廊 相馬樓
舞娘茶屋雛蔵畫廊 相馬樓
ここだけがタイムスリップしたかのように思えてしまう雰囲気のある建物。食事をしながら舞娘の踊りを見ることもできる
舞妓茶屋雛蔵畫廊 相馬樓
酒田舞娘
本間美術館
本間美術館
江戸時代に隆盛を誇った本間家の別荘。長年手入れされた日本庭園は一度は見ておきたい

酒田のシンボルで雛を見学

文化を運んだ最上川

山居倉庫(さんきょそうこ)は、明治26年に旧庄内藩主酒井家によって酒田米穀取引所の付属倉庫として建設された、酒田のシンボル的存在。自然を巧みに利用した低温管理により100年以上経った今でも実際に倉庫として使用されている。そのうち2棟を利用して観光・物産の拠点となる「酒田夢の倶楽」が設置されており、ミュージアム「華の館」では人形師・辻村寿三郎氏による雛人形たちが厳かに常設展示されている。古代雛のみならず、現代の技もここで見ておきたい。

ミュージアム「華の館」
ミュージアム「華の館」
辻村寿三郎氏の作品「さかたの雛あそび」。その色鮮やかな姿には目を奪われる
傘福
傘福
当時、庶民が願いを託した様々な飾り物を傘先に下げ、観音堂に奉納する独特の風習があった。
傘福
山居倉庫
NHK連続ドラマ「おしん」のロケ地としても知られている観光名所だ

庄内藩の城下町、鶴岡へ

鶴岡に残る歴史と情緒を求めて

<鶴岡市>
江戸時代の建物、明治・大正時代の洋館が建つ街並みはどことなく落ち着いた、酒田とは違った印象を受ける鶴岡。庄内藩を統治した酒井家は、徳川四天王の一人酒井忠次を初代とした名門だ。歴代の藩主には田安徳川家や熊本藩細川家などから姫君が渡り、その際に持参された雛人形や雛道具が今でも酒井家に伝わっている。
この庄内藩は、『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』などで知られる鶴岡出身の小説家、藤沢周平の描く海坂藩(うなさかはん)のモデルであると言われている。小説の中に出てくる舞台は、実際に鶴岡を彷彿とさせる場面もあり、城下町を歩いているだけで作品の世界に浸ることができそうだ。また、映画『蝉しぐれ』の際にロケ地となった「丙申堂(へいしんどう)」は、庄内藩の御用商人で、幕末には鶴岡一の豪商となった風間家の建築によるもの。ここでも風間家が所蔵していた貴重な雛人形が飾られる。

ひな街道に思いを馳せる

明治36年に奥羽本線が新庄まで開通し、大正3年には陸羽西線が開通すると、最上川の役割は鉄道へと移り変わっていく。しかし、山形県にはかつての繁栄を色濃く残す文化が存在し、そして私たちの生活に深く浸透している。県内各地に現存する雛人形はそのひとつで、当時の人々の生活に思いを馳せることのできる大切な歴史なのだ。一年間でわずかな期間だけ見せてくれるその由々しき姿を、ぜひ拝見してみたいと思うのも当然なのかもしれない。

致道博物館
有職雛(致道博物館蔵)
公卿の装束を有職故実に基づいて正しく仕立てた雛。酒井家の御用屋敷に立てられた致道博物館で見ることができる
丙申堂
丙申堂
石が置かれた石置屋根が特徴で、4つの蔵など、豪商の面影を今に伝える貴重な歴史遺産として注目されている
湯野浜
湯野浜
海が目の前という好立地条件の温泉地。雛めぐりの宿泊地としてもおすすめだ
雛菓子
雛菓子
精巧なつくりはまさに職人技。その美しさからか、なかなか手に入らない
夕日
夕日
日本海側に面する鶴岡市は夕日のスポットとしても有名
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